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ITIL第11回 可用性管理とは? ~サービスデリバリ 其之四~

投稿日:2014/05/20カテゴリー:ITIL

んばんは♪
FL.OPSの中の人その2、DAO(だお)です。

今回も「今日は何の日」ネタからスタートしようと思います(笑)

今から105年前の1909年に、うまみ調味料「味の素」が一般販売され始めたそうです。
今話題のグルメ漫画をはじめとして、様々なところで否定的なことを書かれていますが、適度に使えば適度に便利であると、最近見直されているようですね。

料理のうまみを引き出して料理を美味しくする「味の素」のように、クラウドのうまみを引き出してお客様の業務を楽にする、そんな「FL.OPS」でありたいと思います。
※いや、今回も苦しいですね(笑)

さて第11回を迎えた今回は、サービスデリバリの「可用性管理」について、説明させて頂きます。

1.可用性管理とは

SLAで合意されたITサービスを確実に行なう為の設計・実装・測定・報告・改善までの一連のプロセスのことです。
これらの活動によりサービスの可用性、信頼性、保守性を実現することが可能となります。

また、ITILの『サービスデリバリ』では以下のように定義しています。
「可用性に対して提示された業務要件を確実に一貫して満たすよう、ITインフラストラクチャの可用性を設計、実装、測定及び管理すること」

つまり…
SLAで合意されたITサービスの業務要件を確実に実行するために、インフラストラクチャの設計から実装、可用性の測定、報告及び改善を行なう一連のプロセスのことを指します。
そして、そのプロセスを確立し実行する事により、ITサービスにおける可用性、信頼性、保守性(*1)を実現することが可能になるということです。

(*1)

  • 可用性 … ビジネスがITサービスを必要とした時間に、どれだけITサービスが利用できたか
  • 信頼性 … 顧客やユーザに提供されるITサービスやインフラストラクチャがいかに中断せず稼動し続けるか
  • 保守性 … 障害が発生したときに、どれだけ早く効果的に通常の稼働状況に戻すことが出来るか

2.可用性管理の必要性

ITILの『サービスデリバリ』では以下のように解説しています。
「事業を成功させるために、IT可用性の重要性が今ほど明らかであったことはない。この数年、ビジネスプロセスとIT運用間の相互依存性が発展してきており、今やITが停止すれば事業が停止するほどになっている。」
「事業をサポートする上で可用性が重要であるという事は、世界経済、24時間経済、電子商取引及び自由な勤務形態の社会に影響を与えている傾向の中に見出せるはずである。これらはITサービスの時間と場所に依存しない可用性に対する需要を増大させる機動力である」

つまり…
ビジネスを取巻く今日の社会環境の変化によって、時間と場所に依存しないITサービスの可用性が求められており、高可用性を実現することは、事業の継続を保証することと同義である。

3.可用性管理のメリット

ITILの『サービスデリバリ』では以下のように解説しています。
「可用性管理の主要な利点は、可用性要件を持ったITサービスが一貫してその目標値を達成するように設計、導入、管理されることである。」

また、可用性管理を導入することで、以下のようなメリットがあります。

  • IT組織内に可用性に対する単一の説明責任(プロセス・オーナ)が確立される。
  • 事業からの決定した要件を確実に満たすよう、ITサービスを設計することが可能となる
  • 提供されるIT可用性レベルのコストを正当なものにすることが可能となる。
  • 要求された可用性レベルを合意、測定、及び監視し、サービスレベル管理を全面的に支援することが可能となる。
  • 要求された可用性レベルの提供に関する不足を認識し、是正処置を識別、導入することが可能となる。
  • ITインフラストラクチャの最適な利用とパフォーマンスを確実に達成し、最大の利益を提供する為に、ITサービスの可用性に関する事業とユーザの観点を取り入れることが可能となる。
  • ITサービスの障害の頻度と継続時間を長期に渡って削減することが可能となる。
  • ITサポート組織の考え方を、エラー修正からサービス強化へ、またリアクティブ(*2)な姿勢からプロアクティブ(*3)な姿勢へと変化させることが可能となる。
  • ITサポート組織は事業に対して付加価値を与えるものとみなされるようになる。

(*2) リアクティブ … 発生した問題に対処すること
(*3) プロアクティブ … 先を見越した行動をとる、率先して行うこと

4.可用性管理の適用範囲

可用性管理の適用範囲は以下の通りです。

  • 全ての新しいITサービスと、サービスレベル要件(SLR)やサービスレベルアグリーメント(SLA)が設定されている既存サービスに適用します。
  • 正式のSLAが存在するかどうかに関わらず事業上、重要度が高いと考えられるITサービスに適用可能です。
  • 正式のSLA策定に先立ってITサポート組織を形成する(内部及び外部の)サプライヤに適用します。
  • トレーニング、スキル、方針、プロセスの有効性、手順、及びツールを含む可用性にインパクトを与える可能性のあるITインフラストラクチャとサポート組織の全ての局面。

また、事業継続性管理は責任の範囲外であり、大規模な災害後のビジネスプロセスの再開はITサービス継続性管理(ITSCM)の責任範囲ですが、可用性管理はITSCMに対して重要な入力を提供し、かつ双方は密接な関連を持っています。

5.可用性管理プロセスの入力情報について

SLAの要件およびインフラストラクチャの機能やコンポーネントへのインパクト評価結果、障害結果などの可用性・信頼性・保守性の実現を判断するための情報

【主な入力】

  • 新規または改善されたITサービスに対する事業の可用性要件
  • ITインフラストラクチャによって支えられている個々の重要ビジネス機能に対するビジネスインパクト評価
  • ITサービスを支えるITインフラストラクチャコンポーネントに対する可用性、信頼性及び保守性の要件
  • ITサービスとコンポーネント障害に関する情報。通常、インシデントレコードと問題レコードの形をとる。
  • それぞれのITサービスとコンポーネントに関する様々な構成と監視のデータ
  • 合意されたSLAを持つそれぞれのITサービスに対する合意された目標値と比較したサービスレベルの達成状況

6.可用性管理プロセスの出力情報について

高可用性を実現する為の計画・評価・報告などの管理プロセスの効果
つまり、可用性管理のアウトプットがITサービスへのインパクトの予防や改善を促進するインプットとなります。

【主な出力】

  • 新規または改善された個々のITサービスに対する可用性及び復旧設計基準
  • コンポーネント障害におけるITサービスへのインパクトを防ぐか、または最小化するインフラストラクチャへの追加的な対障害弾力性を提供するために利用される可用性技法の評価
  • ITサービスを支えるITインフラストラクチャコンポーネントに対する可用性、信頼性、及び保守性の合意された目標
  • 事業、ユーザ及びITサポート組織の支店を反映させる為の、可用性、信頼性、及び保守性の可用性報告
  • 可用性、信頼性及び保守性における逸脱を検出し、報告することを保証する為のITコンポーネントに対する監視要件
  • ITインフラストラクチャのプロアクティブな改善に向けた可用性計画

今回は、可用性管理について説明を致しましたが、いかがだったでしょうか。
次回は、サービスデリバリの第5回目として、ITサービス継続性管理 について、説明させて頂きます。

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