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ITIL第10回 ITサービス財務管理とは? ~サービスデリバリ 其之参~

投稿日:2014/05/02カテゴリー:ITIL

も近づく八十八夜♪
こんにちは。
FL.OPSの中の人その2、DAO(だお)です。

今日は、雑節のひとつ、「八十八夜」です。
この日に摘んだお茶は上等なものとされ、この日にお茶を飲むと長生きするとも言われているようですね。
今日はちょっと奮発して玉露でも買って美味しいお茶を飲もうかと思っています。

さて、早いもので私のBLOGも、とうとう第10回目を迎えることができました。
そんな記念すべき今回ですが、サービスデリバリの「ITサービス財務管理」について、説明させて頂きます。

1.ITサービス財務管理とは

ITサービスにおけるコストや収益の算出及び回収におけるプロセスのことであり、以下のの3つのプロセスから構成されています。

  • 予算管理
  • IT会計
  • 課金

また、ITILの「サービスデリバリ」では「ITサービス財務管理」を以下のように定義しています。
「財務管理とは組織の財源の健全な受託責任を遂行する職務である」

2.予算管理

ある一定の期間内のコストを予測し、実コストを管理することを指し示します。
ITILの「サービスデリバリ」では以下のように定義しています。
「ITサービスの提供に関して適正な財源が利用でき、予算期間内にITサービスが過剰に使われないことを確実にするプロセスである」

つまり…
予算管理とは、ITサービスが確実に限られた予算内で提供できているかを管理するための仕組みであり、また、正確なコスト予算と実績を管理するプロセスであるため、
顧客と定期的にレビューを行いコストの妥当性や活用実績、ITサービスの効果について報告し理解を求めることが重要となります。

3. IT会計

顧客からITサービスの代価を回収するプロセスを指し示します。
ITILの「サービスデリバリ」では以下のように定義しています。
「課金は、顧客に提供したサービスに関して、顧客に請求する為に必要とされる一連のプロセスである」

つまり…
IT会計によって資金面におけるITサービスの詳細や、様々な視点での資金状況の把握が可能となり、また、財務会計の知識を持った責任者によって確実にITサービスの収支を把握し財務の可視性を高めることであり、事業として採算性や妥協点について説明する事を可能にするプロセスと言えます。

4. 課金

ITサービスにおける収支を把握するプロセスを指し示します。
ITILの「サービスデリバリ」では以下のように定義しています。
「IT会計はIT組織がその資金の使い方について全て説明する事を可能にする一連のプロセスである(特に顧客毎、サービス毎、活動毎にコストを特定する能力)」

つまり…
顧客と交渉をし請求金額や回収方法の決定、回収する事を指し示し、顧客とITサービスの請求条件を交渉し決定することであり、確実な回収方法と回収結果を管理する為の一連のプロセスと言えます。

5.ITサービス財務管理の必要性

ITILの「サービスデリバリ」では以下のように定義しています。
「IT組織ができることに最善を尽くしているかを理解するため、また、このことを顧客に対して実証する為に、サービス提供の真のコストを理解することと、これらのコストを専門的に管理することの双方が必要である」

つまり…
ITサービスに関わる費用の妥当性を顧客へ実証するために必要であり、併せて、事業の採算にあったサービスなのかを判断するためにも必要であると言えます。

6.ITサービス財務管理のメリット

ITサービス財務管理を行うメリットとして、以下の項目が挙げられます。

  • 予算の策定と管理に対する信頼性の向上を図ることが可能となる
  • IT投資の決定をサポートする正確なコスト情報となる
  • 現行サービスの所有コストを把握する為の正確なコスト情報となる
  • 組織のあらゆるITリソースのより効率的な使用
  • IT組織内スタッフのプロ意識の向上

上記のメリットをまとめると…
ITサービス財務管理を導入することにより、顧客はITサービスにおける導入の正確な意思決定が可能となった結果、ITサービスの信頼性を保つ事ができます。
また、ITサービス提供者は事業としての採算性が明確になり、サービス品質の改善やスタッフの意識向上をもたらす事が可能となります。

7. ITサービス財務管理導入時の留意点

予算管理、IT会計、課金の各プロセスにおいて、計画を立案するには原価を算出することが必要であり、そのためにコストの分類が有用となります。
ITILではコストの分類として原価費目を以下の通りに定めております。

  • ハードウェア コスト
  • ソフトウェア コスト
  • 人的コスト
  • 収容設備コスト
  • 外部サービスコスト
  • 振り替えコスト

各プロセスは、上記の原価費目を分類することによりコストが正しく識別され管理することが確実になります。
従って、正確なコストを把握し費用対効果が算出できることになります。

今回は、ITサービス財務管理について説明を致しましたが、いかがだったでしょうか。
次回は、サービスデリバリの第4回目として、可用性管理 について、説明させて頂きます。
皆様、良いゴールデンウィークをお過ごし下さいませ。

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